2015年11月2日月曜日

高きは「魔」か「道」か [中国語]



魔高一尺,道高一丈

魔物が一尺(30cm)高くなれば、道は一丈(3m)高くなる。
[最後は正義が勝つ]



NHKラジオ レベルアップ中国語 2015年 10月号より


”魔高一尺,道高一丈”は、近代になって生まれた新しい言い方で、明の時代から使われていた古い諺(ことわざ)は、今と正反対の

道高一尺,魔高一丈

だった。原義は

「悟りを求める修行者が道の高みを一尺(30cm)のぼると、その10倍の高さの一丈(3m)ほどの背丈の邪悪な魔物が立ち現れ、修行者の邪魔をする」

転じて「一難去ってまた一難」。

「ちょっとうまくいったと思ったら、もっと大きなトラブルが待ち受けていた」という意味でつかう。

しかし20世紀、中国が革命と戦争に明け暮れると、「正義は必ず勝つ」という信念から”魔高一尺,道高一丈”という逆の言い方が生まれ、今日ではこちらのほうが主流になってしまった。



近代中国の作家の魯迅は、古来からある諺(ことわざ)

”不打落水狗”
水に落ちたイヌは叩くな

をもじり、わざと逆にして

”痛打落水狗”
水に落ちたイヌは叩くべきである

と言った。ここで言うイヌは「敵」の比喩である。




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