2016年9月20日火曜日

「いつも同じ線路」[鈴木俊隆]



話:鈴木俊隆





菩薩の道は「一途の道」と呼ばれています。

あるいは「何千マイルもつづき線路を行く」ともいいます。

線路はいつも同じです。線路が広くなったり狭くなったりしたら大変です。いつも、どこへ行こうとも、同じ線路なのです。それが菩薩の道です。太陽が西から昇ったとしても、菩薩は同じ道を行きます。その道とは、一瞬一瞬におのれの真の性質、「誠実さをあらわす」という道なのです。





わたしたちは「線路」などといいますが、もちろん、実際にそんなものはありません。「真剣さ」「誠実さ」が線路です。私たちが列車から見ている景色は変わります。しかし、同じ線路の上を走っています。その線路には、始まりも終わりもありません。「始まりのない、終わりのない線路」です。そこには出発点というものはありません。そこで得るものもありません。線路の上を走るのが、私たちの修行なのです。

しかし、線路自体に興味をもつと危険です。線路自体を見るべきではありません。線路を見るとめまいがします。列車からの景色そのものを楽しむのです。乗客が線路のことを心配する必要はありません。線路は誰かが面倒をみてくれています。



しかし私たちは、ときには線路を説明しようとします。本当にいつも同じなのか、知りたいという気持ちになるのです。「本当に菩薩の道はいつも同じなのか。なぜそれが可能なのか。その秘密はなんなのか?」。

しかし、そこには秘密はありません。誰の本性も、線路がいつも同じように、同じなのです。











引用:鈴木俊隆『禅マインド、ビギナーズマインド』




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